https://note.com/yatima/n/nf1bb8a284777
o3 low(tuned)がARC-AGIをあんなに解けるのは、計算量でカバーしてるだけでは説明できないので、人間と異なる異質な汎用知能なのでは、という考察。
しかしこれには異を唱えたいな。提示された情報を紐解けば、やっぱり計算量でカバーしてるだけだと推測できるので。
o3 low(tuned)が高得点を得た理由は、以下のように推測できる。
・oシリーズは、長大なChain of Thoughtによる推論を行うようにファインチューニングされたLLMである。つまり、「自然言語により、仮説を立ててその仮説の正しさについて自ら検証を行う、という処理を多数回試行することにより、正答出力の確率を高める」というタスクをこなすことができる。試行回数を増やせば増やすほど、正答の確率が上げられるので、正答率≒AIとしての能力は、推論時間≒計算量≒計算コストをかけるほど上がる。(ちなみに線形に増加するわけではない)
・o3(tuned)は、ARC-AGIの公開問題の75%を使ってファインチューニングしている。どのようにファインチューニングしたのかは非公開ではあるが、ARC-AGIのCoTでの解き方を学習させたと推測できる。
・o3 low(tuned)は、ARC-AGI semi private 100問で75.7%の正答率を達成するために、約2時間、$2000(約30万円)もかけている。
次に、ARC-AGI semi private 100問で75.7%や87.5%という正答率は本当に凄いのか?という点についても再考が必要。
実際やればわかるけど、ARC-AGIの問題は難しくない。難しめの問題でも、落ち着いて考えれば5分もあれば分かる。一般的なIQテストとは全然違う。平均的な(それこそIQ=100程度の)人間が、ちゃんと時間を与えられて、真面目にやれば、ほぼ100%正答できる問題だと思う。
ARC Prizeの言う、平均的な人間の正答率が73.3~77.2%程度というのは、あくまで、Amazon Mechanical Turkのクラウドワーカーに、1問5ドルで委託した場合の平均正答率でしかない。5ドルぽっちの報酬で、しかも間違えても別に罰則はないようなタスク、誰もが真面目に全力でやりますかね、という。
o3の発表が色々示唆に富むものであったのは確か。
推論時間スケーリング則、実用域の上限に早くも到達したな、とか。
CoTモデルにそこまで強い汎化性能は無く、問題種別ごとにチューニングしないと性能出ないんだな、とか。(たとえばARC-AGIをCoTするモデルは、ARC-AGIの解き方を学習する必要がある)