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福島第一原発のALPS処理水海洋放出に関して、太平洋諸島フォーラム(PIF)から政治的声明が出た。

時事通信11月11日付け記事。

島しょ地域で水質監視へ 処理水は「国境越え得る」
jiji.com/jc/article?g=int&k=20
"年次首脳会合の閉幕を受けて声明を出し、東京電力福島第1原発の処理水放出に対応するため、域内の海洋で水質を監視する体制を構築する方針を表明した。「これは世代を超え、国境を越え得る問題」と指摘し、自前の科学的能力が必要と訴えた。"

以下、オリジナル声明文の関連部分の大意:

- 太平洋(Blue Pacific)の健康と安全保障に対する原子力汚染の潜在的脅威の重大性と、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の存在を強調
- 加盟国がALPS処理水について自国の立場を決定する主権を認識
- 日本に以下を勧告
(a) 福島の問題を今後PALM(Pacific Islands Leaders Meeting、太平洋・島サミット)の常設議題とする
(b) 国際的な安全基準とIAEAによる継続的な独立監視に基づき、安全問題を確認するの政治的対話を毎年確立する
- 各国首脳は、太平洋の海洋生態系の健康と福祉を支援するため、国内及び地域の科学的能力と監視能力を構築する必要性を強調
(続く

太平洋諸島フォーラム(PIF)年次首脳会合の声明は、下記URLで閲覧できる。

声明文発表ページ
forumsec.org/2023/11/09/report

声明文本体(PDF)
forumsec.org/wp-content/upload

ちょっと解説:

日本側は「海は公共財なので、海洋に面する諸国の許可を得ずにALPS処理水を放出していい。安全であることは説明して理解してもらう」という立場を取っている。一方、太平洋諸島フォーラム側はALPS処理水は貴重な公共財である太平洋(Blue Pacific)への潜在的脅威と捉えている。

今後30年かそれ以上におよぶ廃炉のプロセスのどこかで、想定外の出来事により悪質な放射性物質が海洋に流出する潜在的な危険性はある。だからIAEAは福島に常駐してモニタリングをする訳だが、太平洋諸島フォーラムとしても継続的に対話を続けたいと言っている。太平洋諸島フォーラムとしての自前のモニタリング能力の構築にも言及しているが、リソース確保まではできていない書きぶりだ。

任せっきりは心配ですよね。当然の話だと思います。

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