二人の俳優が企画制作からじぶんたちで立ち上げる舞台作品について、あれこれと雑談しているポッドキャストを聴いてる。
「脚本脱稿した!」「スタッフさんがオファー受けてくれた!」「劇場おさえなくちゃ」「予算組どうしよう、助成金いけるかな……」みたいな話が盛りだくさんで、稽古終わりのサイゼリヤでなされるおしゃべりみたい。作品の生成過程の、具体的な段取りが帯びるわくわく感がパッケージされていてとても楽しい。
アルバイト事情など、生々しい話が素直になされているのもいい。
https://open.spotify.com/show/7u2xJpHhAbuQPspbflKC7d?si=KYBg3cedTT-zak7lIf-CLw
『NOW LOADING』観劇。とってもよかった。キャパ40弱の空間での贅沢なアーバン・ポップ・ミュージカル。至近距離で歌い上げられるポップミュージックの親密さと、それでも客席と劇空間とははっきりと隔てられているという遠さの共立。
演劇における近さと遠さの奇妙な同居を、動画配信者の非対面の交流というプロットと重ね合わせていく。俳優のお二人の体重移動がすごい。目の前でかなり大きなマイムもあるにも関わらず、まったく足音が聞こえない。この音のなさもまた近いのに遠い距離を表していた。
無謀な約束を果たすべく一人がゲーム空間を駆け出すシーンがあるのだけど、このシーンの静けさが見事で、思わず涙ぐんでしまった。あと素朴に歌が上手い。このサイズの小屋でこれだけの歌が聴けるというだけで嬉しくなる。
既存の大きな流通経路に乗りやすいように自らをわかりやすい規格にはめこむのでなく、小規模でも自前で制作と流通を準備して、自分がいいと信じるものを誠実に制作できる環境を自作していく態度は、なんであれ素晴らしいものだな、と思う。
天羽尚吾さんはペダステで観ていたが、鈴のような声と涼やかな顔で、線が細いのに芯の強さが滲んでいて魅力的。海老原恒和さんは初めてで、この人は何者なのだろう。剛胆さからナイーヴさまで表現する演技力があり、一度聴いたら鼻唄が溢れてしまうメロディを作り、きれいな声で歌を歌う。最強では…?