『わたしのことり』久しぶりに読み直してて、割と良い本だなと思った。自分の同人誌を自分で読み直して「良い本だな」って思えることはあんまりないのですが、これは良い本。まあ読む人を選ぶけど……(そもそも成人向けだし)。
自分の出した同人誌で、今読み返しても「割と良い本では」と思えるものって多くなくて、そういう意味ではこれを書けて良かったなと思う。
最近平野啓一郎『空白を満たしなさい』を読んだんだけど、純文学的な手法で描かれるセックスの据わりの悪さを強く感じた。
『わたしのことり』を書いた直後は、R18二次創作同人誌における性描写は官能小説の流れを汲んでいて、性暴力や性交渉における男女の役割固定みたいなテーマを書く上でその手法を採用してしまって本当に良かったのか、みたいなことを考えていたんだけど、純文学におけるセックス描写を改めて読んでみて、うーんこっちはこっちでソレジャナイ感すごい、と思った。何か昔、花村萬月とか山田詠美を読んだ時も似たようなことを思ったような。
こういう言い方は無条件に成人向け二次創作やBL小説の肩を持つようでアレなんだけど、性交渉の表現として、実は二次創作やBLって結構頑張ってんじゃね?というようなことを思ったりした……。
この問題さあ、萩尾望都『残酷な神が支配する』でも扱われていて、何かあんまり明確な答えが出ていなくて、ああ〜これは明確な答えがない問いなのかもしれないな〜というようなことを思った。愛情と性的欲望、愛情と独占欲の相違はどのようなものなのか、みたいな。