『関心領域』みたよ 

うーん。やりたいことは分かるし上手くいっていると思うけど、あまり好きではなかったな。あと最後のオエエはちょっとヘスに対して優しすぎると思った。
ホロコースト内部を具体的に描くことにより(作者の意図に関わらず)消費されてしまう、描くことが不可能なほどの悲劇を具体的に描くことによって矮小化されかねないという指摘が以前からあって、本作はどちらかと言えばそうした主張に賛同する形で"非具体"によって"具体"を想像させる作りだ。
ただ本作を見ると、想像力もまたある程度知識に裏打ちされたものであることを実感する。一定の知識がないと、下手したら本作が描こうとしている"具体"の1割も理解できないだろう。まあ、そういう作品もあっていいのだけど。

『関心領域』みたよ 

「関心領域」は実際にホロコースト周辺に整備された地域の固有名詞らしいのだが、広報でそのことに触れられていないので、日本語の"無関心"と結びついてしまい「無関心は良くない!」という話だと思っている観客が大量発生していると思う。でも、そんな話か?
ヘスはある意味、収容者をどのように効率よく搾取し殺すかに大変"関心を持って"いるのであり、その行いははっきりと能動的だ。「私も彼だったかもしれない」「私もまた彼らである」という安易な"共感"を本作は拒否していると思うが、なんというか、勇気をもって"共感できない"ことを受け入れる観客は少数であるように思う。

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『関心領域』みたよ 

@c_ssk 「安易な"共感"を本作は拒否していると思う」ほんとそれ!

@hayakawa2600 こういう作品を見て「自分も彼だったかもしれない」と自戒しなければ不誠実かのような雰囲気が強いと感じます。そういう抽象化はむしろ実際の悲劇と向き合わない姿勢だと思うのですが。

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