帯の文章の説明に移ると、表紙=表1にある
「どこにもない本屋をつくる」「世界をよりよい場所にするために、できることがある。わたしにも、あなたにも」
と、
裏側の表紙=表4の
「新世代の書店人による"みんなのための"本屋論」
この3つは編集の岩下さんが考えてくれたもの。
これは非常によくできた販促文で、特に「みんなのための」は、①「誰に」の部分のターゲットのすべてに響く可能性のある文言になっている。かつ「本屋はみんなのための場所である」という反差別反ヘイトのポリシーともダブルミーニング的なものになる。
そして「〜できることがある。わたしにも、あなたにも」の部分も合わせて、この本が「出版業界の人のみならず、読者であるあなたにも読まれてほしい=誰もがみな社会を変える力を持つ」ということを主張するものだ、ということをも、この装いから受け手が読み取れる可能性も生じさせる。
これは実際にその通りで、本の半分くらいは「本屋以外」の人に向けて書いています。なので本当のことしか書いていない。
続く→
佐久間裕美子さんの推薦文→子ども時代、立ち読みや長居を許してくれた近所の書店に差別と憎悪を煽るヘイト本はなかった。本屋は誰もが安心できる"ユートピア"になれるのか。lighthouseの試みに希望を見る
これは直球でこの本の目的①「誰に」③「受け取られ方」=どのように社会が変わっていくか、の2点に直結する文章で、これがあることで「招かれざる客」は来なくなる。→②「どれくらい」につながってくる。
そしてこの本はどうやっても初速はよくないし、スタートの段階から①「誰に」の「まだ反差別とかよくわかってない」人にまで届くとは考えられないので、まずは人文社会系に関心のある人に届けて、そこからの評価や言及によってその「わかってない」層にも「もしかしてこの本、自分にも関係あるやつ?」となってもらう、そういう流れにしたい。
そして装丁も「本屋っていいよね!(超ポジポジ)」みたいなゆるふわ肯定マジョリティ本として受け取られると困るので(ユートピアというワードがそれを誘引しかねない)、全体として暗めのイメージにしてもらって、そこに差し込むぼんやりとした、しかし確かに存在する光、のようなものにしてもらった。
もちろんこれがすべて伝わるわけではない。しかしこれだけ考えて作られていることに意味はある。