アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇場版が公開されているけど、脚本を担当している吉田恵里香さんは「虎に翼」の脚本家でもある。「ぼっち・ざ・ろっく!」は青春時代の描写の巧みさが際立っていたけど、それは「虎に翼」でも同様で、主人公が学生時代の描写は本当に見事の一言だった。

しかし戦後編、第二部が始まってから物語は急速に濃度が薄まり、あれほど解像度が高かったそれぞれの人物描写が日に日に低くなっていった。

個人的に戦争中の描写のあっさり具合を見た時、このドラマは今までとは違い戦争を違う位相から見つめて描くのかと思い、なれば当然原爆裁判をどう描くかが焦点になり物語の最大山場に設定されるだろうと思った。

ここがあるからと夏頃起きた迷走も目をつむり待ってたわけだがいざ始まってみたら、他のエピソードに割かれる時間は減らず、それにより重要な出来事の説明省略が起き、物語的な矛盾も生じ、多くの疑問を積み残したまま原爆裁判の話は僅か一週間の駆け足であっさりと終わってしまった。

脚本家ご本人が「こうした話は元々苦手」と話されていたように、得手ではない話を描くことは大変なんだなとつくづく思う。あれだけの出だしを見せたこのドラマが評伝劇として一番まずいWikipedia的物語になってしまったのはとても残念だ。朝ドラは難しいね

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今映画館でやってる「ラストマイル」とものすごく対照的だなと思ったな。第一部では主人公らが何を学び、法律とはなにか、が描かれていたけど、大人になってからその描写が薄れていき、物語の中核となる裁判官というのはどういう仕事するのかという点がドラマ見ていてもあまり良く分からないことになってしまう。ドラマが仕事を描ききれていない。

「ラストマイル」は、私の仕事場が事件現場になるわけだがディテールは丁寧に描かれていて見ていて大きな違和感なく楽しめた。映画の中に出てくる人たち、それは捜査側含めて「普段何をしているのか」「どんな仕事なのか」を映画はしっかりと描ききっていた。だからこそ切実感がこちらにも伝わってくる。もちろん現実とは微妙に異なることもあるけど映画内のリアリティは一切の破綻をきたしていない。「ラストマイル」は現実社会リアリティと映画内リアリティの温度差の少ない極めてよくできたエンタメだった。今年は入江悠監督の「あんのこと」といい、よく出来てる邦画の社会派映画が際立っている。

2時間の作品でもここまで丁寧に人物描写が出来るのだから、時間ある朝ドラならばもっと丁寧に、法律に関わる仕事について描けたはずで、そこの丁寧さを欠いたことがドラマ全体の失速に繋がった気がしてならない。本当にもったいなかった。
QT: fedibird.com/@gaitifuji/113100
[参照]

ガイチ  
アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇場版が公開されているけど、脚本を担当している吉田恵里香さんは「虎に翼」の脚本家でもある。「ぼっち・ざ・ろっく!」は青春時代の描写の巧みさが際立っていたけど、それは「虎に翼」でも同様で、主人公が学生時代の描写は本当に見事の一言だった。 しかし戦後編、第二部が始ま...
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