アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇場版が公開されているけど、脚本を担当している吉田恵里香さんは「虎に翼」の脚本家でもある。「ぼっち・ざ・ろっく!」は青春時代の描写の巧みさが際立っていたけど、それは「虎に翼」でも同様で、主人公が学生時代の描写は本当に見事の一言だった。
しかし戦後編、第二部が始まってから物語は急速に濃度が薄まり、あれほど解像度が高かったそれぞれの人物描写が日に日に低くなっていった。
個人的に戦争中の描写のあっさり具合を見た時、このドラマは今までとは違い戦争を違う位相から見つめて描くのかと思い、なれば当然原爆裁判をどう描くかが焦点になり物語の最大山場に設定されるだろうと思った。
ここがあるからと夏頃起きた迷走も目をつむり待ってたわけだがいざ始まってみたら、他のエピソードに割かれる時間は減らず、それにより重要な出来事の説明省略が起き、物語的な矛盾も生じ、多くの疑問を積み残したまま原爆裁判の話は僅か一週間の駆け足であっさりと終わってしまった。
脚本家ご本人が「こうした話は元々苦手」と話されていたように、得手ではない話を描くことは大変なんだなとつくづく思う。あれだけの出だしを見せたこのドラマが評伝劇として一番まずいWikipedia的物語になってしまったのはとても残念だ。朝ドラは難しいね