ボランティアが炊き出しのカレーを食べる云々(続き)
意図しなくても支援者と被支援者の間には権力関係が生まれがちだ。ちょっと大げさに感じられるかもしれないが、炊き出しを分け与えようとする申し出を頑なに断るのは「私は支援し与える人、あなたは支援され貰う人」という関係性を相手に押し付ける態度である。
「同じ釜の飯を食う」という言葉があるように、日本では(おそらく一定の時期以降)同じものを一緒に食べることは単に栄養補給以上の意味を持っている。特に炊き出しのように一つの鍋から食事ををみんなで食べることは、文字通り"分かち合う"行為であり、連帯感や関係の親密さ/対等さを感じさせる。それはボランティアに分け与えた一食を節約して被災者が食べることよりもずっと大きな意味を持つだろう。被災者だって、パンのみに生きるにあらずだ。