出版業界では以前からずっと「本の価格を上げるべきだ」という話は出ていて、特に物価上昇が続くこの半年くらいはいっそう言われている。出版社や取次、本屋の健全な運営という観点から考えればたしかにその通りだと思う一方、本屋lighthouseの運営ポリシー的には価格上昇によって買えない=本へのアクセスが不能になる人が出ることは承服しがたく、かつ、お客さんのなかには現時点で社会的に弱い立場にいさせられている人も多いことが予測されるので(お店の運営ポリシーに共鳴してくれている=差別被害の当事者である可能性は高くなる)、なおさら安易に首を縦に振ることはできない。正直なところ今後の価格上昇は避けられないだろうし、そうなると「仕入れた本を売る」以外の利益獲得手段(の割合)を増やす必要があり、その一環としてこれまでもZINEを作ったりしていたのだけど、これからはMastodonのサーバー運営とかもその範疇に入ってくるのだと思う。そもそも政治を変えられれば一件落着なのだけど、それはすぐにできることではないので。

いわゆる「業界」の人とは数年前から徐々に話が噛み合わなくなってきてるけど、今後その傾向は加速すると思う。見(え)てる世界が違うのは明らかなので。だって「本(屋)」のことしか考えてないもん、あの人たち。本はいいものだ、本屋は素晴らしい、みたいなこと「だけ」をいまだに言ってる。関口は現実を見てないみたいなことを時折言われてたけど、現実見てないのはそっちだと思う。本が売れないのは社会がバグっててみんなその金がないから、理由はそれだけだ。本(屋)の魅力を上げれば買ってもらえる、みたいなことをいまだに言ってるのを見ると呆れるしかない。

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本の魅力云々ってのはようするに「可処分時間(と所得)の奪い合い」なわけで、そうやってパイの奪い合いをしてても、そのパイを縮小させることしかしてない政治が現実としてある以上、ジリ貧でしかない。ゆえに私たちが目指すべきものは「パイを増やすこと」であり、その実現もまた政治にしてもらうことでもある。だから政治の話をしろ、社会を見ろ、その実践のひとつが差別・ヘイト本を置かないことだ、と常々言っているが響かない人が多数派だ。「現実を見ろ」。マジで。

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