「ポピュリズムの歴史をひもとけば、ポピュリズムを『デモクラシーを危機にさらすもの』とする見方は、必ずしも一般的ではない。むしろかつてのポピュリズムは、少数派支配を崩し、デモクラシーの実質を支える解放運動として出現した。19世紀末のアメリカ合衆国、20世紀のラテンアメリカ諸国を典型として、既成の政治エリート支配に対抗し、政治から疎外された多様な層の人々、すなわち農民や労働者、中間層などの政治参加と利益表出の経路として、ポピュリズムが積極的に活用された。特にラテンアメリカにおいて、労働者や多様な弱者の地位向上、社会政策の展開を支えた重要な推進力の一つが、ポピュリズム的政治だったのである」3%