ビヨンセがまたもグラミー賞でアルバム賞を獲れなかった。
一方、アルバム賞を獲ったハリースタイルズは、 “this doesn’t happen to people like me very often”とスピーチして炎上。これはアイドルとしてデビューした人間がこのような賞を獲るのは難しいと言いたかったのだろうと考察される。
しかし、アイドル出身白人男性以上に、黒人や黒人女性、非英語圏、クィアなど、賞を獲れない人々はいる。さらに、グラミー賞は有色人種や女性、クィアが正当に評価されていないとずっと議論になっていたにも関わらず、白人である人が“this doesn’t happen to people like me very often”。
カミングアウトするかしないかは個人の自由であり、“シス男性”らしくない服装をしているからといってクィアであるとは限らない。
そんなことは分かっていて、なぜカミングアウトしているクィアたちが沢山いるにも関わらず、“白人でありスカートを履いてネイルをしているだけの男性”がクィアの代表のように扱われ民衆は褒め称えるのか。がたびたび議論されている。
そして、スカートを履きネイルをしているクィアたちや有色人種たちはスポットライトに当たらない。(それこそが白人男性特権であるだろうと言われている)
また政治的言及がないことも理由として挙げられる。“クィア性とはどう着飾るかではなく政治性だ”と。カミングアウトしている人たち(もしくはアライ)は政治や社会に言及しているにも関わらず、ハリーの作る音楽にも言葉にも政治性や社会的メッセージは感じられない。ビヨンセやクィアや有色人種のアーティストたちは音楽や言葉に社会的メッセージがある(マイノリティであるがゆえに政治的になってしまう)。
そもそも、グラミー賞の選考の偏りが指摘されていて、少しずつ良くなっていっているのではないかと思われていたところに、またもやビヨンセが最多賞を獲得するも主要な賞を逃したことが大きい。そして白人(男性)による”this doesn’t happen to people like me very often“という発言。
私は日本にいる限り人種面ではマジョリティだし、黒人に対する差別の歴史や文化(特にアメリカ)を学んでいる途中でもあるので、私からハリーのことをレイシストだと思ったりこの件に関して真意がわからない中、批判する立場には無いと思う。
でもこの発言の真意はともかく、批判があることには向き合って欲しいと思う。そしてインタビューかSNSかどこかでハリーには説明をして欲しいなと思う。意図しなくても場や時期によっては傷つく人がいるし、実際に相当なバッククラッシュを引き起こしたのではないかな。
肯定的?擁護的?な意見を調べると、ハリーはイギリスの田舎の貧しい町の出身。学校を諦めてオーディション番組に出演した。ハリーの出身地域では音楽なんて出来なかった。という理由がpeople like me の意味であると。他にもこんなに素晴らしい人々よりも自分が受賞してしまったという意味。まだ彼は子ども時代を引きずっているなどがあった。アイドル出身であることに関しては、グラミーの選考員がハリーはただのアイドルだから評価しないみたいな発言をしていた。これまでにノミネートしたことはあるが賞を獲れていない。などもある。
彼のことをこの発言だけでレイシストや特権に無自覚だと決めつけるのはよくない。
しかし、彼がこの言葉の真意を説明しないだろうとみんな分かっているのでwhat?みたいに煽る形になっているのかと。
またアメリカでは全て人種やセクシャリティ(アイデンティティ)に繋げるのかとアメリカを批判するのもある。イギリスとアメリカは違うとかもある。
でも、アデルがビヨンセを押さえて勝った時のスピーチは…みたいに思う面もある。
あとは同じアイドルのBTSはアジア系・非英語圏を理由にいつになっても受賞できないと言われているので、ハリーはpeople like meの中でも特権的だと。