読書備忘録『O嬢の物語』 

*河出文庫(1992)
*ポーリーヌ・レアージュ(著)
*澁澤龍彦(訳)
男たちからの陵辱を受け入れて、みずからの意思で絶対的服従を誓うOを通してエロティシズムの暗黒面を曝露した問題作。斬新性・独創性を尊重するドゥ・マゴ賞を受賞した世界的に有名な官能小説なので、外国文学に馴染みのない人でも表題は聞いたことがあるかも知れない。ただし道徳的観念も性的嗜好もぶっ飛んでいる上、性的表現より「支配」「服従」という概念を重視した重苦しい文体であるため、読者を選ぶと思う。ファッション専門の写真家Oの人生は、城館で男たちから陵辱と調教を受けたことで転換期を迎える。たびかさなる強姦と鞭打ち。行動の自由を奪われたOは屈従するのだが、彼女は負の感情ばかり抱いているわけではない。そもそもOを城館に招き入れたのは恋人ルネである。やがてルネはOの「所有権」をステファン卿に譲り、Oは人から人の手に渡る玩具として肉体的な装飾を施されていく。束縛を受けることで充足を得るというOの逆説的な精神的変遷は奇妙だけれど、この奇妙な精神構造は『O嬢の物語』を画期的な作品たらしめる要素なのは明らかである。

読書備忘録『O嬢の物語』 

@100KUTO 小学校の頃に読んでびっくりしました。初めて読んだ官能小説でした。

フォロー

読書備忘録『O嬢の物語』 

@granat_san 初の官能小説、それも小学生で『O嬢の物語』とは冒険をされましたね。私は20代の頃に読んだのですが、久しぶりに読み返して「凄い話だなぁ」と改めて驚きました。削除された最終章が気になります。

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。