今、面接をしながら、昨日観た『ジョーカー2』のことをまた思い出していた。
アーサーの話に耳を傾ける人が誰もいなかった。
皆が自分が見たいものをそれぞれ思い思いに、彼の上に映し出していた。彼は皆の願望空想のゴミ箱のようだった。
弁護士でさえ、勝手に諸々自分が「良い人」として、気持ちよくなれるような善意に解釈するばかりで、彼の中の怒りや狂気にはこれっぽっちも興味を示さなかった。
アーサーの怒りや狂気や混乱は、誰からも興味を持たれない。耳を傾けられない。
…にしても、彼の元々のカウンセラー?が法廷で彼の日記を読み上げるのには驚いた。いや、アレ自体がすべて彼の妄想の中の出来事と言って仕舞えばそれまでなんだけど。第一、法廷にあんな衣装とメイクで現れることが許されるはずもないし。
あと、辛かったのは、彼が正気を取り戻すために必要だったのが、刑吏からの暴力だったと言う身も蓋もない流れ。
それも内的な空想の世界なのだと思えば、違和感は無いのだけど。