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前にも書いたけど、水戸の植木屋で働いていた時、年配の職人さんが、若い頃はミートセンターで働いていたと言っていた。屠殺と解体をするところ。トイレも行く暇もなく働いていたと。

作業しながら長靴の中に脂身を溜めて、その脂身を外で売るとお金になるんだと言っていた。

解体をする包丁を扱っている場所で血の気の多い者同士で喧嘩になると大変なんだとか、コツさえ掴めば関節のところで簡単に切り離せるから、殺人をしてノコギリでバラバラ死体にするのは素人だとか、そんな話を聞いた。

その人が被差別部落の出身だったかは知らない。ただ若い頃にグレて、でも「お母ちゃん(妻)に出会って」堅気に戻れたことを感謝してた。

だから息子が暴走族に入った時には猛烈に怒って、カケヤ(木の大きな槌)で、息子のバイクをボコボコにしてやって、やめさせたんだと言っていた。

子どもの頃はその人のお父さんが馬子をやっていて、手伝ったものだと言っていた。馬子なんて言葉、言葉としては知ってたけど、まさか実際にやっていた人に出会うことがあるなんて、その時まで思ってもみなかったけど。

時代劇の悪役みたいな顔をしていて、ガタイの大きな人だったけど、心優しく、山野草栽培が好きで、誰よりも働き者で、私はとても好きな職人さんだった。

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今、ふと思ったんだけど、あの時、確か「長靴」って言ってたと思うんだけど、考えてみたら、普通の長靴では大した量の脂身、溜められないですよね。

もしかして、この手の「長靴」のことだったのかな。ミートセンターでの解体作業なら、こう言うのを着ていそうですよね。

でもずいぶん昔のことだから、そんな立派な装備はなかったかな。

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