ジェンダーアイデンティティも身体的な性差も皆が思ってたよりもずっと複雑で多様だったという話。実体に合わせて慎重に変えていくべきこともあるかもだけど、固定観念を捨てられなくて「(自分にとっての)分かりきったこと」が壊される(侵される)ことに反感や動揺、不安を感じている人が多すぎ。
今回の件では、遺伝子検査みたいなことができない時代なら、これまでは何十年も(何百年も?)普通に女性として競技してきた人の一人にすぎない。パニック起こして過剰反応しなければならない話でもない。分かってなかったことが見えてきたので今後どう考える?と落ち着いて話し合っていけばいいだけ。
性の問題は自分のアイデンティティを揺さぶられるので、その不安を他者への攻撃に変えたくなる衝動を持ってしまう人が多いけど、「それはあなたの不安ですよ」という話。
ああ、選択的夫婦別姓や同性婚で不安になって攻撃的になる人なんかと同じなんじゃないかな。それまでの自分の世界になかった異質なものに対する嫌悪感や恐怖のようなものなんだろうけど、「別にそれであなたの世界が壊れるわけではないから落ち着いて」という…。
怖いと感じるあなたの気持ちにケアが必要なこと自体を否定する必要はなくて、ゆっくり落ち着くまでケアを受けるべきだけど、それを他者への攻撃に向けるべきではない。
今回の試合について言えば、あなたがこれまでの人生で何十年と、自宅でビール飲んで寝転がってTVで観戦してきたいつもの試合と何も変わらない、そのひとつであったに過ぎない。
ただ、それでも、その同じ試合でも、これまで見えてなかったことが見えたことで、不安に感じているあなたの気持ち自体を否定しなければならないものではないので、その不安はカウンセリングなどでゆっくり内省していけば良い。