側から見たら、「そんな親、早く捨てちゃいなよ」って言う風にしか見えない場合でも、良い大人でも(40歳、50歳の人でも)、実際に親から引き剥がす(心理的にある程度の親との分離を果たす)のに、毎週カウンセリングしていても何年も掛かるんですよね。経済的にとか生活的にとかはとっくの昔に自立しているような人でも。
その人たちを見下して言ってるのではなく、そのくらい子の親に対する気持ちって、いくら口では「あんな親!」って言ってるような人でも強烈なんですよね。仕方ないんですよ、人間ってそう言う風にできている。
長じては、親の心配をし続けて自分の人生が二の次になっているパターンとか。「放っときなよ」「もっと自分のこと考えたら?」と言ったところで無駄。
私自身が40歳近くなってからカウンセリング受けて「自分は親のことで自分は頭が一杯で心を乗っ取られてる状態なんだ」って、やっと初めて気づいた人間ですから。まぁ前々から「自分は何だか変だ」とは薄々感じていたんだけど。
以前に斎藤学さんが「(児相などの介入で)母子を引き離さざるを得ないような時は、生木を引き裂くような辛さがある」って言ってたけど、まさにそんな感じだと思う。「害になる親だから離した方が良い」みたいな簡単な話ではない。
むしろ虐待的な環境で育った人ほどそうなる傾向は強い。
虐待って言っても必ずしも暴力振るわれたとかでなくても、親が精神的により未熟で、その分、子ども時代に十分に子どもらしく生きられず、親の親みたいなことをやらざるを得なかった人とか。
ある意味、早熟というか…物心ついてからは大人びた感じの子どもだった子とかね。私なんかもそのクチですけど、自分のセルフが育つ前に親の保護者的な心性を身につけちゃうと、親に乗っ取られたような人格になりますね。
親が未熟でなくても、親が実際の生活が大変でいつも一杯一杯で、子どもは親の心配ばかりして育ってたとか。子どもとしての人生を奪われていると、逆に親に心を奪われている子どもが育つ。
もちろん「殴る蹴るみたいな阿鼻叫喚が日常」だったような家族で育てばなおのこと、そこから分離した自分みたいなのを育ててもらえるような状況ではないから、やっぱり原家族や親からは離れられないし。
でも、それでも何でも子どもにとっては「親」なんですよね。幾つになっても求めて止まない。これは理屈じゃない。