【5/26】霊界通信 ベールの彼方の生活 3巻 「天界の政庁」篇 6 “強者(つわもの)よ、何ゆえに倒れたるや” https://akito-takizawa.com/2024/05/26/the-life-beyond-the-veil-vol-3-240526/
さて、そのボスが今まさに目の前に立っている。わめき散らす暴徒たちにとっては紛れもない帝王であり、後方と両側に群がる人数は何千を数える。が、彼との間には常に一定の距離が置かれている – 近付くのが怖いのである。
左手にはムチ紐が何本も付いた見るからに恐ろしい重いムチがしっかりと握られていて、奴隷たちは片時もそのムチから目を離そうとせず、他の方向へ目をやってもすぐまたムチへ目を戻す。
ところがそのボスが吾々と対峙(たいじ)したまま口を開くのを躊躇(ちゅうちょ)している、その訳は、彼が永い間偉そうに、そして意地悪くものを言うクセがついており、今吾々を目の前にして、吾々の落着き払った態度が他の連中のおどおどした態度とあまりに違うためにためらいを感じてしまったのです。
そうやって向かい合っていた時である。ボスの後方に1人の男が正門のところで会った守衛の服装の2人の男に捕らわれて紐で縛られているのが私の目に入った。蔭の中にいたので私は目を凝(こ)らして見た。何とそれはキャプテンだった。
私はとっさに勢いよく進み出てボスのそばを通り – 通りがかり