【5/23】霊界通信 ベールの彼方の生活 3巻 「天界の政庁」篇 3 冒涜(ぼうとく)の都市 https://akito-takizawa.com/2024/05/23/the-life-beyond-the-veil-vol-3-240523/
いかにも心優しい人物を装い、いかにも遠慮がちに述べつつも、実はこの男はこの界層でも名うての獰猛さと残忍さを具えた暴君の1人なのです。確かに彼はその国の総督に選ばれた事は事実ですが、それは彼の邪悪性を恐れての事だった。
その彼が、見るも哀れな半狂乱の聴衆を“品性高き者”と述べたものだから、彼らは同じ恐怖心にお追従(ついしょう)も手伝って彼の演説に大いなる拍手を送った。彼はまた聴衆の中の毒々しく飾った醜女たちを“貴婦人”と呼び、羊飼いに羊が従う如くに自分に付いて来るがよいと命じた。
するとこれまた恐怖心から彼女たちは拍手喝采(かっさい)をもって同意し、彼に従うべく全員が起立した。彼はくるりと向きを変えて、その巨大な階段を登ろうとした。彼は次の段に杖をついて、やおら1歩踏み出そうとして、ふとその足を引いて逆に1歩2歩と後ずさりし、ついに床の上に降りた。
全会衆は希望と恐怖の入り混じった驚きで、息を呑(の)んで身を屈(かが)めていた。その理由は他ならぬ階段の上段に現れた吾々の姿だったのです。吾々はその環境において発揮できる限りの本来の光輝を身にまとって1番上段に