ヴィルヘルム・バックハウスはベートーヴェン弾きとして知られるが、バッハ、ハイドン、モーツァルト、など他の作曲家のピアノ曲も大変素晴らしく、一度聴くと味わいの深さに虜になる。
モーツァルトはとてもいつくしむような表現が多く、ベートーヴェンとのギャップに驚かせられる。でも、やはり終始聞き手は関係なく、演奏しているのが分かる。常に音と一体となるバックハウスがそこにはいるような気がするのだ。
演奏はあまり聞き手を意識しすぎると良くないと私は思うのだ。そこには、技巧や美辞麗句的なものを越えた何かソウルフルなものが横たわっていると言えるのではないだろうか。