デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』(市田泉訳)を読みました。
姉セプテンバーに支配される妹ジュライの視点で、10ヶ月違いの姉妹の歪な関係が紡がれてゆく。
もっとも身近な者から受ける支配が、被支配者の心身にどのような影響を及ぼし続けるのかが、もっとも惨い形で余す所なく描写されており、めちゃくちゃ辛い……。
高まり続ける不穏な切迫感と、心理描写が尋常ではない。
体調の悪い時に見る悪夢のように掴みどころがなくモヤがかかったようでいて、しかし迸る生命力に引き込まれる。
帯の裏側にある本文からの抜粋はこの物語の核心でもあるので、読む前に知らないほうがいいのでは……?と思った。
姉妹の歪さとこの本の雰囲気が瞬時に理解できるので魅力が伝わりやすいとは思うけれど、しかし2人の約束について事前知識を持って読んだのは少しもったいなかった気がします。