「一度きりの大泉の話」
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この萩尾望都のエッセイは、萩尾望都に嫉妬する竹宮恵子と、自己否定で沈黙してしまう萩尾望都自身の半世紀に渡る確執の話だ。わたしは彼女らが一時共同生活をしていたことすら知らなかった。

萩尾望都は大好きだったし、時々書かれる「ポーの一族」続編は今も楽しみにしている。

竹宮恵子の「風と木の詩」はあまりにも暗くて残酷で途中で挫折。竹宮恵子は「少女漫画革命」を目指していたが、わたしはその革新的漫画家の描く14歳の残酷描写に耐えられなかったのだと思う。

その反対に、萩尾望都の視野の広さとその底に流れる人間的優しさには救われたし、その描写力が竹宮恵子に恐怖に近い嫉妬を与えたのかもしれない。

辛い話がメインだが、当時の萩尾望都とその周辺の交友も興味深い。知っている名前が次々と出てきて懐かしい。あの時代、少女漫画の変化する時代に現れた漫画家たち。わたしが今も読むのはそのほとんどがあの時代の漫画家たちなのだった。あの時代を知るひとたちには必読書だと思う。

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@gaby
木原敏江先生の
「個性のある創作家が二人,同じ家に住んではダメ」
との言葉が苦いですね(167)

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