夢枕獏の陰陽師、前回の映画化が若干サイキックバトル寄りで原作の雰囲気が弱くて残念だったので今回どうなるかと思ったけど、輪をかけて派手なサイキックバトル映画っぽくて辛い。「呪術、激突」ってコピーの時点で印象が真逆と言うか、むしろ激突しないで受け流すのが夢枕獏の清明なのに……なんかもっと地味で生活感のあるリアルな平安世界の中にこっそり呪が混ざってくる程度の、「それもまた呪か」という博雅の台詞にふふんと笑う軽やかで重たい清明が観たい。

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妖(あやかし)の類はいっそ和紙に筆で描いたみたいなタッチにして、建物もきちんとカラフルな寝殿造りで、四季折々の風景を交えて、自然と人間の距離が今以上に近かった時代ならではの陰陽師の知恵を感じられる物語が観たい。カメラがぐりんぐりん回転してエフェクト満載な、いかにも白組みたいな派手なのは夢枕獏の晴明とは対局にあると思う。

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