トリアー作品
ラース・フォン・トリアーは初期の「エレメント・オブ・クライム」とか「キングダム」あたりでは計算ずくでキメキメな映像を撮ることで定評のある監督だったけど、一方で「エピデミック」のアドリブ重視な映像にも面白さがあった。それらの要素が実母の死をきっかけとして昇華されたのが「奇跡の海」以降の「黄金の心三部作」で、映像はハンディカムのみになって登場人物の間をたゆたうようになり、物語もよりプライベートなものとなって、観客の内面をより深くえぐるように変化した。「奇跡の海」は大学の映像の教授がオススメしてたので観たけど、大学になるとこういうのを平気で勧めてくるんだと驚いた記憶がある。なお最近のトリアーはちょっと吹っ切れてエンタメに走る余裕が見える(あれだけ否定していたBGMを普通にかけたりする)のでむしろ安心する。