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『わたしはヤギになりたい』
ヤギ5頭と島暮らし。飢えさせないため日々草を刈り、枝を伐ち、草木の盛りを見極め季節で変化する味の好みにも対応するヤギ中心生活&植物エッセイであった。大好物のマメ科だが食べすぎると病気になる、特に足が水で濡れるのを嫌う、群の順位付けはあわや流血沙汰になるレベルとか、ヤギ飼育のおもしろさ難しさを実直に織り交ぜて綴る。
最初は庭の草刈りを任せようと飼い出したのに、表情や好悪の有ることを知り、どんどんヤギにとっての心地よさを求めるようになる著者。庭のみならず耕作放棄地を回って草刈りマシーンに己が成る展開に笑ってしまったし、その覚悟がなければ個人での飼養が難しいことがよく分かる。それでもやはりヤギを人間の生活に合わせるのである。発情期と去勢、きょうだいの片割れを里子に出すこと(同腹との離れ離れはヤギのストレスだそうだ)など、「他種を飼う」ことへの葛藤も書き込んであった。
文章のみでも生活の感じはよく伝わるのだが、あちこちに挿入された写実的かつ柔らかなイラストによって著者の見た光景を「体験」できるのも楽しかった。乾燥させるためぐるぐる巻きにして作ったタワー状の芋蔓にクリスマスのイルミネーションが飾られている光景、見たすぎる。

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切り株に生えるひこばえはヤギが食っても食っても生えるので永久機関…!と喜んでいたらそうは問屋がおろさず新芽もなくなり切り株も朽ちてしまった話とか、ちいかわの無限湧きどころが彷彿とされて二重に面白かった

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