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『成功したオタク日記』
映画『成功したオタク』監督自身の、推しを推せなくなった時からの日記とインタビューの記録。「推し」が性加害に加担していた。とんでもなく人を傷つけるような人物を見抜けず彼を好きだった自分とは何なのか。佳い思い出があるファンゆえの苦しみを抱えつつ、社会の一員として加害にNOを言い、被害者に及ぼされる影響を慮る姿勢を貫く。中でも、同じひとを好きになった人々と交換し合って集めたグッズをすぐには処分できなかった事について、p270「わたしたちの友情のしるしだった小さなモノたち。それらにしみついている、幸せだったかつての自分を消してしまうことができなかったのだ」と真っ正直に吐露するところは、(まったく別な理由で・別な)ファンダムを最近抜けた自分には突き刺さったと同時に、感情が整理されるものだった。幸せが衰えていない時に幸せだった記憶と手を切るのは難しい。しかし己の幸せのみを優先して加害の肩を持ちたくはないのだ。

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