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hanmoto.com/bd/isbn/9784163917
『化学の授業をはじめます』一気読みした。とにかく面白く、犬がすばらしく、自分が自分でいるために闘うシス女性かつ化学者の話。1950年代のアメリカが舞台。「女」には結婚して名前を失い、子どもを生み出し、完璧な家事と美貌の才能が求められ、使命として認められていた時代をこれでもかとエピソードを重ねて描く。その大半は現在にも続くが、作中でそれは社会の構造のせいだと明言するし、あなた(主人公)が好きだとシス女性達が表明する勇気と勇気が行き交う盛り上がりがとても好き。妊娠したことでクビにされ生計を立てるべく始めた「お料理教室の番組」を閉める一言がもう超カッコよかった…! あとマジで犬が良良良。主人公の体の中で育つ新しいいきものに与えるべく路上からチョークをくすねるシーン超かわいい。
一方で懸念点もある。
・主人公が性的暴行に遭う描写が2ページほど記され、女性のエンパワメントとして売り出されている商品であるのに注意書きがない
・公民権運動には数行触れるのみで登場人物はおそらく総て白人
・トランスパーソンのことは念頭にもなさそうな印象を受ける
50年代が舞台だとしても、現在に書かれた作品として、面白く読みながらソワソワする感じが消えなかった。

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