好きなところ(ネタバレ)
傍系で一番王位に近いオッチャンに実は妻と娘がいたことが発覚。妻と娘は前王から隠れた先で他の女性たちと協力して里を開き、現在も山中で暮らしている。王の死をもって禍が去り、権柄を握る夫のいる王館に帰らないのは、まさに夫が権柄を握るから・女性たちが惨殺されるのを止めなかったからだと理由が明かされた時にしびれましたね…。しかも妻は当時政の場に参加して自身は王を止めろと何度も訴えていたというのが…。強靭に行動する女性たちが描かれる。
あとタザが死んだかもしれないと聞いて床下に隠れてマトが泣く理由がタザが唯一の友だった兄が可哀想だという理由だし、それを慰めるのが臆病から少しずつ抜け出してきたアケトだったのがね………。いや~、いい。
国の開墾にあたって王の始まりに渡された箱、王位を継ぐ儀式ではその箱の中をひとりで見る必要がある、人が生きるには衣食住も知識も安心も必要だが希望だってなくてはならない、主人公の語り部は生きる気力を持たず閉じこもっていた十歳の王にお話をすることで元気の炉に火を入れた、と繰り返し繰り返しやっているので「パンドラの箱」をやるんだろうなあと思っている。この物語における最後の希望がどんな形をしているのか非常に楽しみ。