#読書
https://www.msz.co.jp/book/detail/09596/
『招かれた天敵』エキサイティングでした。
https://www.msz.co.jp/news/topics/09596/
上記で公開されている「はじめに」だけでも読んでほしい。p2『自然と人間が調和していたとされる過去の日本は、もはや異国である。もしそんな異国に魅力を感じるのだとしたら、それはおそらくロマン主義のエキゾシティズムと同類のものだろう』とバチバチやってる。
食料のため、産業のため、景観を豊かにするため、国から国へと運ばれた植物たち。移された植物自体が土地を覆い尽くして百年の害となる所もあれば、植物にひっついていた・もしくは目的を持って移入された虫が定着して農業の大害虫となる所もあった。そこで招かれたのが「天敵」である。
この天敵(本来の呼び方は拮抗種)を使って害を食い止めようという方法は生物的防除と呼ばれる。防除を任された人々は原産国や類似の場所を訪れて調査し、実験も重ねて、これぞという天敵を野に放つのであったが、ついぞ大成功をおさめることはなかった。むしろ天敵たちは再び害虫へと“変貌”を遂げてしまう。 》
あと野生下における捕食者と被食者の数の増減は連動するという「自然のバランス」は存在しないことを知りました…。俺の習った教科書で見たグラフだと思っていたら、後に自然は平衡状態を保とうとはしていないと結論づけられたらしい。新しい本読むの大事だ。
あと(2)カーソンの『沈黙の春』。カーソンの訴えは現在でも大切だが、科学的な内容は当時の知識に基づいた「正しさ」であると度々本書で言及。存在しなかった「自然のバランス」のように学問や知識はアップデートされるが、『沈黙〜』の内容はどうしても歴史に留まる。いまだ広く必読の書とされるからこそ、『招かれた〜』で言うような批評も一緒に薦めないと危ういのでは?とも思った。