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honto.jp/ebook/pd_32422382.htm
『墨のゆらめき』読み。良かった〜〜〜!
お話が面白いのはもちろん、ジェンダーバイアスを排除する姿勢(男性主人公が例え自分に彼女がいても料理は手の空いてる方がするものだと言う。女子が相撲をやって何が悪いとふと挟んでくる)、ヤクザに“なってしまう”のは本人のせいなのかと社会的な貧困を批判したり、男性の性被害を聞いて加害者に怒りを向けたりと、相当意識的に社会問題を表に出してきていてgoodでした。
ホテルの接客が天職の男性主人公が仕事をきっかけに態度がでかくて体もでかくて子どもに好かれている男性書道家に巻き込まれ、代筆屋を手伝うことになっちゃって、最初のお客さんは小学生、しかも報酬はうまい棒?! があらすじ。態度のでかい猫もいる。
三浦にはそろそろ男男がロマンスの決着を迎える作品書いてほしいなあ。今作、途中で主人公が書道家から口説かれてるのか?と思うくだりが入るのだが、「ギャグ」にすることも、嫌悪感に使うことも一切しない。実際もし口説かれたらこの主人公なら真面目に返事を考えるだろうなと思わせる雰囲気作りに成功している。好きな作家が「今」をきちんと見つめていると分かる作品で大変に心落ち着いた…。
将来は遠チカがいいです(願望)

 

今回一番感心したし、ハッとしたのが、書道家の過去が開陳される場面。本編における「謎」部分でもあり、知らなかった主人公と読者に対して作品が「種明かし」をするのだが、そこで主人公は読者と離れて「辛いことを話させている」と書道家を気遣う。
こういう「種明かし」ってフィクションの様式の一種だから、どうスムーズに開陳させるかが見どころだと思っていたんだけど、著者と主人公はそこじゃなくて、話さざるを得なくなったひとの心情に寄り添おうとしていて、胸をつかれた思い。

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