『消え去る立法者』、遂に自腹で買ったが、税込み7000円とはえらく高い。
この値段で買ったからには読むけれども、内容が値段に値することをまずは期待する。
「あとがき」だけとりあえず読んだが、謝辞の頭に、いきなり柄谷行人が出てきたのには驚いた。やはり、この人にとって柄谷さんは「特別な人」だったのだろう。
私は柄谷さんに初めて会ったのは、もう25歳を過ぎ、自分の「思想」は出来上がっていて、しかも所謂「現代思想」には批判的だったので、感覚が全く違う。
5年間位時々会ったが、はっきり言って柄谷さんから「影響を受けた」ことはない。逆に私が喋ったり、書いたりしたことから、柄谷さんが「影響を受けた」らしい事柄はいくつもある。
一番わかりやすい例はサルトルに対する言及の仕方。ただし、柄谷さんは最後までサルトルのテクストを理解はしなかった。とは言えこれは仕方のないこと。
というのは、サルトルのテクストは『存在と無』と『聖ジュネ』を筆頭に非常に難解な上、「後継者達 ディアドコイ」のフーコー、デリダ、ブルデューが「煙幕を張った」ので、現在に至るまで仏・英・独そして勿論日本でも私以外に「読む」ことができた人間はいないからだ。
ま、いずれにせよ『消え去る立法者』、期待外れでないことを望む。