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  プラトン、アリストテレスがローマ帝国崩壊後、ヨーロッパ世界から長く失われたことは以前投稿しました。

 アリストテレスに関しては、イラスム世界からラテン語に重訳、アルベルトゥス・マグヌス、トマス・アクィナスなどのスコラ哲学の基礎となったことは有名です。

 さらにルネサンス以後、プラトンとともにアリストテレスも古典ギリシア語から再び直接訳され始める。

 では、元来、プラトン・アリストテレスの原本があったのか?それは違います。

 実はプラトン、アリストテレスは全て口頭での講義であり、それを1世紀程後に、さまざまなバージョンで書物(エクリチュール)に纏められた(ここは福音書と同じ)。現在の古典文献学は複数のバージョンを比較、相対的に口頭の講義に「近い」と認められたものを確定する。

 それにしても驚くべきは、古代ギリシア人の「記憶力」。さすがに「記憶の女神 ムネシュモネー」が学芸の女神たち「ムーサ(英仏語ミューズの語源)」の母とされるだけのことはある。

 しかし若い時からの訓練次第で、現代人にも同様なことが可能なのは、仏20世紀の哲学者・政治家・弁護士を見ればわかる。この三者、メモもなしに数時間ぶっ通しで喋りつづける。これにキケロ的雄弁術が加わるから、まさに演劇である。これもギリシア的ではある。

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