部下の女性をレイプした容疑で逮捕された元大阪高検検事正が、一転して「無罪」を主張し始めたらしい。
初公判では「事実(強制強姦であったこと)については争わない」としていたが、突如「同意があったと認識していた」と述べ始めたという。
最初ちょっと耳を疑ったが、被告は「最初は検察や関係者に迷惑がかかる」として「起訴内容について争わない」予定であったが、「検察内部から情報漏洩したと被害者から批判され、却って検察批判を招いた」ので、「考え直した」などと主張している。
しかし、この経緯説明では、レイプ」という「行為」を及んだか否か、という肝心要の論点が消え、「検察に迷惑をかけたか否か」という組織防衛への貢献をアピールするー如何にも日本的なー戦略(戦略と言えるとしてだが)しか見えてこない。
そもそも近代における刑事犯罪とは、個人が刑法上犯罪にあたる「行為」に及んだか否か、が全てであって、所属する組織に「迷惑がかかるか否か」は法的には何の意味もない。
刑事犯罪の実務専門家、しかも政治家などの犯罪を捜査する大阪高検検事正だった人間が理屈としてこれを知らない筈もない。しかも、この人モリトモ案件で佐川国税庁長官を「不起訴」とした捜査の責任者だというのだから、むしろ一層検察への不信は高まるばかりである。