「J.バトラーとソフォクレス『アンチゴネー』の勧め」
J.バトラーはS.ジジェックとともに、現存する、最も発言が注目される哲学者と言えるでしょう。
そしてバトラーが元来1930年代フランスでのヘーゲル導入に関する研究から出発したことは何度も投稿しました。
またジジェックも、ラカン派精神分析とヘーゲルを主要参照項とする点で共通しています。
しかしバトラーの哲学的著作は決して「読みやすい」とは言えません。
ここで、まずギリシア三大悲劇作家とされるソフォクレスの「アンチゴネー」を読むことをお勧めします。
『アンチゴネー』は、西欧の人文主義的伝統の中で繰り返し参照されるだけでなく、ヘーゲル『精神現象学』D(精神 Geist)において、詳細に論じられている。
バトラーの『アンチゴネーの主張ー問い直される親族関係』は、ヘーゲルの「アンチゴネー」論の
脱構築とも言えます。
できれば、『精神現象学』の該当箇所も合わせて読むことをお勧めしますが、これも決して「分かりやすい」とは言えない。
そこで、日本語訳も文庫になっているソフォクレスを読むことをお勧めします。これを読んでから、ヘーゲルないしバトラーを読めば必ず得るものがある筈です。