日本の現存の作家では池澤夏樹(1945生)は、マチネ・ポエティックの福永武彦の息子として、少なくとも「リベラル」としての筋は通している。
先日の東京新聞のエッセイでも沖縄戦に触れて「昭和天皇に戦争責任はある」と断言していた。
これ、歴史的・政治的に見れば当然の結論でしかないが、現在のマス・メディアで、この自明の理を発言できる「作家」がどれだけいるだろうか?
ところで、池澤夏樹は当然文壇内では傍流である。加藤周一さんが亡くなった時も、作家として唯一追悼文を文芸誌に書いたと記憶している。
やはり文壇内で孤立していた石川淳が1987年に死去した際に、「お別れの会」で弔辞を読んだのは中村真一郎、加藤周一、安部公房、丸谷才一、武満徹の5人だった。
この時、当然大江健三郎にも声が掛かったのだが、大江は文壇内の「空気」を読んでこれを断った。このことは中村真一郎さんからも聞いた。加藤さんが「大江君も文壇内の力関係に敏感だから・・・」と嘆いていたのは、こうした背景もある。
しかし何はもとあれ大江健三郎が才能ある作家であること、これは疑いない。しかし、星野某は池澤夏樹と比較しても、教養と見識と言う点でお話にならない。
影響を受けたと称しているガルシア=マルケスを再読(初読)してはどうだろうか?