急いで補足しておくと、私はトルコだけを一方的に批判する立場ではありません。
EU加盟を餌にしてトルコにあれやこれやと要求を出した挙句(ただし死刑廃止はよかった)、土壇場でジスカールデスタン元フランス大統領が、「文明の違い」などと言い出して、加盟を拒否した過程などは明らかに不当ですし、トルコ国民が怒るのは当然です。
またシリア戦争の結果、数百万単位の難民が国を追われましたが、そのほとんどはトルコに留めおかれている。ドイツでは、このシリア難民をターゲットにした排外主義が前景化していますが、白人ドイツ人は急激に人口減少しているので、底辺労働力に必要な移民人口だけ受け入れている。
またトルコに対する映画を含めた欧米メディアがかなりの「偏向」を示しているのもまた事実です。
とは言え、トルコは今や人口8500万の大国。軍事力はエジプトをはるかに凌ぎ、リビア内戦にも軍を派遣、ワーグナーの支援を受けた対立勢力を打倒。またアゼルバイジャンを支援して、ロシアの保護下にあったアルメニアを粉砕。
現在は1453年のコンスタンティノープル陥落の日は国家的行事となり、イェニチェリの扮装をした集団が首都を練り歩く。元来トルコ共和国はオスマン帝国の否定が国是だった筈だが、これも典型的な「伝統の創造」である。