岸田首相退任に合わせてTVも慌ただしく、「次の総裁選」についての広報に勤しんでいるらしい。
朝日系の番組では、慶応SFCの竹中平蔵の弟子の中室牧子が「河野太郎氏に期待します。閣僚経験も豊富だし、突破力も本物」などとコメントしていたのとこと。
この中室という人は、朝日の論壇委員やら、JRの車内画像広告にやたらと頻出するので、さすがに私も名前を覚えた。
画像広告では、男性アナウンサーに「AI時代に人に期待されているものは?」と聞かれて、ホワイトボードに「コミュニケーション力」と掲げて、車内の私を驚かせたものである。
ところで、「突破力」という言葉、私の知らない界隈では、最近は普通に使うらしい。
昔、宮崎学が「突破者」という自伝を書いていたけれども、何か関係があるのだろうか?
何にしても、思想や方向性をブラインドにして「突破力」だけ求めるのは、危険極まりない。
ヒトラー率いるナチスは「危機の時代」における「突破力」だけは群を抜いていたのである。
どうも、「ワンワード・フレーズ」で大衆心理を操作しようとする広告作法、この30年まるっきり変化がないようだ。
念のため付け加えておくと、広告を組織的に政治における大衆動員に利用したのはナチスをもって嚆矢とする。