現在の日本には、批判的知識人は点として散在してはいるが、層としてあるいは「知的ブロック」としては存在していない。
これは、勿論複合的な要因によるが、短期的・直接的には、三浦雅士『現代思想』、蓮実重彦『ルプレザンタンシオン』、浅田・柄谷『批評空間』、と続いて21世紀に入って東浩紀の『思想地図』に至る流れが人文系インテリを瓦解させたと言える。
先の投稿で、1960年-1970生のインテリで『現代思想』・『批評空間』で自己形成した「世代」の「無惨さ」を「痴愚神礼賛祭り」シニアで例解したけれども、21世紀に入って『思想地図』から始めた世代はさらに悲惨である。
何と言っても東浩紀がそうであるように、この時期になるとそれまでよかれあしかれ存在していた「フランス思想」という他者=外もなくなり、ただJAPANのサブカルチャーに自閉していくだけ。
この段階で「リベラル」仕草の軛からも完全に開放され、SF業界も含めて「ネトウヨ」・「ミゾジニー」ハビトゥスが爆発することになった。
であるから、1980-90生で仮に『思想地図』や「ゲンロン」で自己形成したとしたら、これはもう目も当てられない。
となると30年間、知識人は再生産されなかったことになる。ここ数年僅かに変化の兆しがあるのは微かな希望だろう。