「骨相学」というと、現在の日本では「観相」程度の、ごくたわいのないものと受け取られがちです。
しかし19世紀には「骨相学」は「科学」としての権威をドイツを中心としてかなりもっていました。夏目漱石やアインシュタインの脳がホルマリン漬けにされているのも、その流れです。
この当時、骨相学は人種主義・優生学と結びついて多分野や国家政策に大きな影響を及ぼしていた。例えばロンブローゾの「犯罪生物学」など。
ちなみに日本人をはじめとしたモンゴロイドは「倫理的に劣り、模倣するしか能はなく、独自性」がない、とされた。
これ、現在の脳科学の用語に翻訳すると、中野信子の「アジア系の80%は主体的に思考できないことが脳科学的に証明されている」の発言になる。
また優生学はフランスを除く全ての(勿論日本も)近代国家が断種政策を行う際の科学的正当化として機能した。
つまり国家が福祉へと資源投入するからには、それは「リターン」と結びついた個体が選別されるべき、という発想である。
こうした優性思想に基づいた選択的福祉政策の再前景化も新自由主義局面の特徴である。