しかし、21世紀になって東大教授が人種主義と分離不可能な骨相学的言説をなぞるとは、ある意味「ぶっとんでいる」。
さすが、福田和也を評価しているだけのことはある。福田はゴビノーからドリュ・ラ・ロシェルに至る仏極右の「文学的」伝統を「背負っている」などと自称していた。
ところで、この骨相学、20世紀に入って、文化人類学でも形質人類学でも完全に否定された。1980年代に人類学の講義に出れば、最初に言及される。
ただし、この種の「疑似」科学」的な人種主義、現在はDNA理論によって再び活性化している。何と言ってもこの分野の創始者の一人、J.ワトソンは「骨の髄からの」レイシスト、セクシストであり「遺伝的に黒人と女性は白人男性に能力で劣る」と主張し続けて、ついに失脚した。
しかしR.ドーキンス的な遺伝決定論は英語圏で強い影響力を持ち、S.グールドやド・ヴァ―ルは長くこれと闘った。
スパルタカス君に関しては、とりあえずグールドの『人間のはかり間違い』(河出書房文庫・上下)を読むことを勧める。
いずれにしても現在の「疑似」科学的言説の主流は脳科学とAIになった。
東・浅田的言説の特徴は「テクノロジー万能論」。これに日本のSF業界の「ミソジニー」爆発が折り重なるから手が付けられない。
ちなみに福祉国家スウェーデンでも1930年代に骨相学に基づいてラップランド住民(サーミ人)が、どのような過酷な扱いを受けていたについては、
映画『サーミの血』(2016)が参考になります。
東大の先生は、グールドは無理でもこの映画位は最低見た方がいいと思う。
でないと、このまま行けば「人種主義・植民地主義」・「ミソジニー」、そして口だけ「反資本主義」の労働者差別者、の三拍子揃った学者、ということになりかなない。
警告はしたよ。