丸山眞男「であることとすること」のアクチュアリティー
自分の投稿に触発されて20年振りくらいで丸山眞男の「であることとすること」を読み直す。
「プディング」の話は出だしだけ、数回使用されているだけだった。この文章、意外と量はあるので高校教科書には最初の部分だけ掲載されているのだろう。
ところで66年前に書かれたこの文章、本筋ではない後半部分に「現代性」を感じさせる箇所がある。
第一に、大都市の消費文化に言及して、「文化の一般的芸能化の傾向はすさまじい」と批判していること。
第二に当時の米国で研究者の評価が「論文の質や内容ではなく」、点数主義に陥っていることに警告を発している。
第三にーこれが最も重要であるがー川端康成の『女であること』を取り上げながら、日本では極端に女性が「妻」及び「母」という役割を割り振られ、男性と比較して「社会的に多様な役割を果たせない」規範に縛られている、と批判していること。
丸山はこのジェンダー規範を女「である」ことと表現している。これはボーヴォワールの『第二の性』の冒頭、「女性は女として生まれるのではない。女になるのだ」を踏まえていると推測される。
しかし、この文章、1959年の毎日に連載されたというから昔の新聞のレベルは高かったなー。