現在の欧州情勢、「複雑怪奇」かもしれませんが、ある程度30年代との類似性はあります。それは共に「世界資本主義の危機」を背景としているため。
1929年のWTの「クラッシュ」から発する「世界恐慌 Great Depression」の負の波及効果によって独では1933年にナチス・ドイツが政権を奪取。
これに対し、仏ではロマン・ロラン、アンドレ・ジッド、A.マルローら知識人が1932年には「反ファシズム」勢力の結集を訴えます。コミンテルンが「人民戦線」を採用したのは1935年。つまり仏の知識人の動きが先。
ただし、仏でも今日と同じく、「アカ」より「ファシズム」を志向する政治エリートも多く、特に大学生はー独と同じくー「ファシズム」支持多数。1934年にはナチスの政権奪取に意を強くした右翼が議会を襲撃する事件が起こります(この辺、トランプの米国と同じ)。
しかし左派も急激に巻き返し、36年の選挙で圧勝、ブルムを首班とする人民戦線内閣が成立。
ところが、政治エリート内部では「反ファシズム」の合意は共有されなかった。
純軍事的には優勢であった筈の1940年の「奇妙な敗北」はその結果。
今まさにマクロンが「奇妙な敗北」を招き入れるか、人民戦線の勝利か、歴史は反復していると言えるでしょう。