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 オノレ・ド・ バルザックは19世紀前半のフランス社会を「全て」を小説の中に封じ込めるデモーニッシュな意図をもち、その作品群をダンテの「神曲」にちなんで「人間喜劇」と称する。勿論、大西巨人の「神聖喜劇」はここから来ている。

 バルザックの小説は、リヴェットによって「美しき諍い女(知られざる傑作)」、「ランジェ公爵夫人」が映画化されている。
 またA.ドロンとともに「太陽がいっぱい」に出演したマリー・ラフォレの「金色の眼の女」もバルザック原作である。

 バルザックは平民出身であるが、まだ身分制が強固に機能した当時のフランス社会で、貴族の家系であることを「詐称」し、「ド」(貴族であることを示)を名乗っていた。
 またバルザックは、貴族女性との関係を追い求め、最後にはポーランド名門貴族のハンスカ伯爵夫人と死の直前に結婚。膨大なバルザックの借金は死後、夫人が清算した。

 バルザックの身分制社会に対する強いアンビヴァレントは「ゴリオ爺さん」、「幻滅」に顕著に表れている。とくに「幻滅」の主人公リュシアンはバルザックの分身とも言える造形である。

 ここでは貴族に対する強い憎悪が観察され、これは「ランジェ公爵夫人」にも通底する。映画では悪役の貴族夫人を演じるのは共にJ.バリバール(E.バリバールの娘)である。

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