現在の日本のロースクール制度は2004年に米国の制度を模倣して作った所謂「専門職大学院」。これに対し、大陸欧州は大学の法学部、英国は法律家のギルドでの養成となる。
ただし、日本はロースクールに通わず、司法試験を受験する「予備試験」制度を設けてある。現在は、このロースクールをスキップした予備試験合格組が最も就職に有利な「優等生」とされる。
ところで、ロースクールになって、法制史、法社会学などの所謂「基礎法」はすっかり周縁化され、法制史に至っては、研究者の再生産は途絶する見込み。
このことによって、法学部・ロースクールのコースの優等生はそもそも「歴史」を学ばず、「歴史的視点」をもつことなく、法律家になる。
さらに、元来日本の実定法は現行法の解釈に特化していたため、旧司法試験合格者でも「大日本帝国憲法」と「日本国憲法」の根本的違いと憲法制定過程を知らない。であるから山尾志桜里のような「びっくり」発言も飛び出す。
米国は1787年から(英は1688年から)修正はあれども、「憲法 constituion」の変更がないのに対し、日本は全く違う。
憲法の講義では「8月革命説」などを習うがこれは後からの解釈に過ぎない。
詳しくは拙著『世界史の中の戦後思想』第4章・第5章を参照ください。