現在、ようやくメディアで(といっても東京新聞くらいだが)格差と貧困、「失われた30年」の出発点として1995年に日経連が出した「新時代の日本的経営」が挙げられ、「新自由主義」という概念と結びつけられるようになった。感無量である。まだ「新自由主義」という分析概念を「否認」している連中(政治学・経済学・社会学)もいるが。
実は、私は、1990年代後半「80年代研究会」で、酒井隆史さん、大内裕和さん、渋谷望さん、故金森修さん達と、1975年からの日本の新自由主義的再編を分析する作業を行い、その成果は90年代後半の『現代思想』、最終的には2001年11月号(WTCへのテロ攻撃の直後)、『ポストモダンとは何だったのかー80年代論』として刊行された。
ここでは1980年に始まる大平臨調から始まる審議会政治、中曽根による国鉄の民営化と国労つぶし、サントリー財団のヘゲモニー戦略とポストモダニズム、自己責任論と心理学主義の関係、「社会」の解体と治安国家のせり上がり、日本の多国籍企業の特徴など、が明快に論じられている。
昨年4月の『現在思想』の大内さんとの対談「新自由主義化の宗とイデオロギー」は四半世紀後の総括と言える。
2001年は図書館で読めますので、関心のある方はご笑覧頂ければ幸いです。
「新自由主義下の宗教とイデオロギー」(正)