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 川出良枝「平和の追求ー18世紀フランスのコスモポリタニズム」を読む。前著と変わらず明快な文章である。

 ここで取り上げられているフェヌロン、サン=ピエール、モンテスキュー、ルソーそしてカントはすべて国際秩序としての「世界君主制」ーニュアンスの差はあれーを批判し、それよりは「勢力均衡」を次善とした。

 この現代的含意は、世界君主制(米国の一極秩序)よりは、多極秩序の方が「よりまし」ということになるだろう。勿論ご本人の真意はわからないけれども。

 それにしてもアンリ4世とシュリーのヨーロッパ連合の「大計画」をルソーが持ち上げていたことを知り驚く。シュリーとは「ナントの勅令」で有名なアンリ4世の腹心で実際にこの「大計画」を立案した人物。アンリは「パリはミサに値する」の名台詞を吐いて、カトリックに改宗、フランスの宗教内乱を収めたが、シュリーは生涯プロテスンタントのままだった。

 実は私はシュリーから国際連盟までの欧州連合の構想史などを考えていたのだが、どうも先を越されたようだ。

 ただし欧州連合なのでイスラムは排除されている。ここも発足時の国連と似ている。

日本では夙に渡辺一夫が「フランスユマニスムの人々」でアンリ4世の大計画に言及していた。この時にはまだシュリーの立案だとは知られていない。

 

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