フォロー

 2000年代、日本では「反グローバリズム」というやや誤解を招く表現が流通していたが、正しくは「オルターグローバリゼーション」である。

 つまり、新自由主義グローバリズムを批判するが、移民排斥などを伴う「ナショナリズム」にも反対、ということだ。

 世界的市民組織としては、世界社会フォーラムが代表的なもので、その中に欧州社会フォーラムもあった。哲学的には相いれないA.ネグリとデリダも共に政治的には「オルターグローバリゼーション」派だった。

 私は2003年のパリ郊外での欧州社会フォーラムに出席して、その分科会(30人程)でネグリとカリニコス(英国の第四インター派)の討論でライブのネグリを始めてみた。その際は、欧州知識人らしく、両者とも相手の話を全く無視して自分の言いたいことを滔々とまくし立てていたが、全身を使ったネグリのパフォーマンスは印象的だった。

 この時、ラテンアメリカでは、ブラジル、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、チリ、アルゼンチンで中道左派・左派政権を次々と誕生、「赤い米大陸」と呼ばれた。

 この波は2010年代に一度押し返されるが、現在再び姿を見せている。一度は逮捕・収監されたブラジルのルラが再び大統領に返り咲き、南アとともにイスラエル批判の急先鋒となっているのはその象徴である。

こんにちは。日本語訳で混同や混乱もあるかと思いますが、よく知られている「反グローバリズム」の出処は、さらに数年前の時期の運動のスローガンだと思います

1999 Seattle WTO protests
en.wikipedia.org/wiki/1999_Sea

ただ、近年は「反グローバリズム」は極右のイシューに成り代わっていて、移民や難民、外資など敵視する排外主義と同義で、その影響は、例えば、気候危機や再エネをめぐる議論や政策にも明確に表れています。

日本の場合、そこが他国の状況とまた異なるのは、気候危機の解決は世界全体で取り組まなければならないにも関わらず、「システムチェンジ」に欠かせない海外からの投資や技術にまで、左派(を自負している個人や団体)の側からも反対の声が上がるところです。

過去の「反グローバリズム」意識のまま、そのようにして社会全体が鎖国主義に陥っています。

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。