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 中国の学歴社会は近世宋代に科挙というシステムで完成され、基本的には清代末期まで継続した、とされます。

 このシステムによって、中国では皇帝(と皇族)以外の世襲の身分は消えました。勿論、高級官僚の子供は教育投資によって科挙に受かりやすいとされますが、落ちれば「ただの人」となる。

 この中国の科挙システムと能力主義と非身分制社会という点で評価したのが18世紀急進啓蒙のレナル。
 他方、皇帝専制主義として激しく攻撃したのがモンテスキューです。
 J.イスラエルの分類では「穏健啓蒙」に入れられるヴォルテールは儒学の「現世的な」(反パスカル)的な部分を評価。

 また中国の特徴はこの時代にすでに均分相続だったこと。従って、一代で財を成したものも子供、孫の代になると、小型化し、市場を独占するアクターが生まれにくかった。

 さらに言えば、近世中国では日本でいう「村」はほとんど機能せず、地縁による紐帯はないに等しい。また住民の移動が激しいので、一世代ですっかり入れ替わることも。

 朝鮮では、この移動率は中国と日本の間とされる。
 甲午農民戦争のも指導者、チョンボンジュンもそのような移動する民でした。

 従って、中国では宗族・結社の同調圧力は強いが、村の同調圧力はほぼない。ここは地縁優位の日本と大きく異なる。


いつも拝読しております。
このトゥートを拝見して唐宋変革に興味を持ちました。初学者向けに何か参考になる書籍や資料を教えていただけましたら幸いです。
科挙と身分制について、「近世」北宋でのヒトの流動性について分かるものを希望します。

@Poropopo 内藤湖南ないし宮崎市定のものか、ないしは、岩波から出ている通史中国史、または講談社から出ている同様の通史の該当巻はいかがででしょうか?


ご教示くださりありがとうございます。
宮﨑市定の『東洋的近世』が手に入るため、そこから読み進めようと思います。

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