ところで、米政府という巨大組織の方針は勿論、バイデンという個人だけで決められるものではない。
しかし米国では軍の総指揮官は大統領であることは明確であり、大統領の意志が反映しない、ということもまたない。
今回のガザ侵攻に関しては、バイデン政権は当初から一貫してネタニヤフの側に立ってきました。
しかし、事ここに至り、最も重要な同盟国である英国・欧州でもイスラエル批判が高まり、米国もこれを無視することはできなくなっています。
他方、米国は1979年以来イランとは国交を断絶しており、この半世紀、「あの手この手」で反イランキャンペーンを行ってきた。この「反イラン」キャンペーンは濃淡の差はあれ、欧州にもある程度共有されている。
ですので、「イランがイスラエルを攻撃、イスラエルが危機に陥っている」というメディア状況を作り出せば、ガザの惨状は報道から消え、欧米対イラン(イスラム)という「文明の衝突」という構図を共有した上で、一気にイランを「片づける」という誘惑が米政府・軍の一部にあることはほぼ間違いない。
しかし、現在その選択をあまりに「危険」として反対するグループも米政府内に存在することもまた確実です。
それを期待してイラン政府も必死に自重している、これが現在の状況と言えるでしょう。