考えてみれば、ポリーニとD.バレンボイムは共に1942年の生まれだった。
バレンボイムはアルゼンチン生ながら1952年家族でイスラエルに移住。ただし1950年からダニエルは欧州にてピアニスト、指揮者としての訓練を受ける。あのフルトヴェングラーの薫陶も受けたとされる。
バレンボイムはヨルダン西岸・ガザ占領の放棄を主張し、パレスティナ国家との「共存」を訴えてきた。
パレスティナ人との連帯を示すためにヨルダン川西岸で演奏を行い、またE.サイードととも音楽と政治をめぐる対話を出版している。
自らも玄人はだしのピアノを弾くサイードは音楽批評も書く。サイードのG.グールド論は興味深く読んだ記憶がある。
バレンボイムは21世紀に入る頃からイスラエル政府の方針を「破滅的」と批判していたが、ある意味「破滅」は訪れてしまった。
ポリーニと同年だからもう82歳になる。今度の破局をどのように見ているのだろうか?
私がバレンボイムの演奏を生で聞いたのはベルリンに行った際の1回だけ。ベートヴェンのピアノ協奏曲だった。